清武会香港支部長 長尾剛

清武会で最も古参の道場生の一人であり、また清武会香港支部の責任者でもある長尾剛支部長に「稽古」について聞いてみました。現在道場から足が遠のいている方やもう一度空手をやってみようかなという方の背中を押してくれることでしょう。
清武会香港支部長 長尾剛

Q 入門してから現在の香港支部支部長までの経緯をお聞かせください。

昭和57年(1982年)の冬。「極真空手やりたい!」と思うも「喧嘩空手」と「強面劇画作家」のイメージで「16歳の僕」は入門を迷っていました。そんな或る朝・・・寮から学校へ向かう道の電柱に、空手着の男の写真と「極真空手・城北支部ひばりが丘道場・生徒募集」のチラシが! あとは勢い。

道場開き初日に見学、二回目の稽古で入会。師範が、極真会館・城北支部長になられて開設された最初の道場であったので、毎回、師範の指導が受けられたのは幸運でした。説明は初心者にも大変分かりやすく、稽古の合間に他の武道、中国武術、師範の人生訓も大変興味深いものでした。

組手の時はボディービルダーのような体で私らの突き・蹴りを受けるか、軽く受け流す程度で、稽古の締めに護身術があり、極真空手のイメージが一気に変わりました。その後は、昇級、夏合宿、大会出場等・・・当時、空手をやっていた方々の一般的な経緯を辿りました。

就職し香港勤務となり、師範、空手とも2~3年疎遠になりましたが、経験者の日本人で集まって同好会活動を始め、それが契機になって、また空手への思いから、帰省の際は師範へ連絡しお目に掛かるのが習慣となりました。その後も転勤、転職で空手から離れた時期もありましたが、最後は必ず稽古が再開できる環境におかれるのが、いつものパターンでした。2008年の帰国(二度目の香港勤務)に伴い、同好会時代からの香港人メンバーに活動を一任しました。

本人もやる気でしたが、本業との両立が難しくなり、内定を頂いていた支部認可も、一旦、白紙に戻せざるをえない状況になりました。どうしたものか?と思案していたところ、また香港から声が掛かり2012年の春に三度目の香港へ。2013年の夏合宿で正式に支部認可を頂き、今日に至っています。

Q 極真西田道場時代から清武会と、ながく稽古されてきて、道場の変わらない部分や変わった部分などはありますか。

基本的には大きく変わらないと思いますが、私の入門した頃は、保険もサポーターもなかったので道場内の組手でも大会でもケガが多かったと思います。手加減を知らない人間も少なくありませんでしたが、その度に、師範の雷が落ちていました。

逆に、審査の組手や練習試合では「手加減するな」というのが、当時からの教えでした。私も前蹴りに肘を落とされ足指を骨折したり、何度も上段蹴りをもらった顎は今でも馬鹿笑いをすると、一瞬、戻りが悪い時があります。やはり、今でも変わらないのは師範稽古です。

あの緊張感、厳格な雰囲気は、私にとって入門時に戻れる貴重な時間です。50歳になっても、遠慮なく恥がかける時と場所があるのは、本当にありがたい事です。

Q 春、夏合宿、秋の全日本大会と来日されては平塚に滞在され、師範の元で稽古されていますが、どのようなお考えで来日されているのですか。

折角、習った型も時間の経過と共に、自己流になってしまう事が殆どです。また、当初から勘違いしている事も少なくありません。その修正の意味で、年に一回でも二回でも出稽古をするようにしています。

清武会の空手、稽古を正しく伝える事は、香港支部会員に対する私の責任であり、師範稽古で同年代の方々の頑張りを目の当たりにする事は、私自身の刺激、励みになっています。50を超えて、誰にも遠慮なく恥をかける時と場所がある事は、本当にありがたい事です。半年~一年後に出稽古にお邪魔し「かなり三戦らしくなってきた」とか「それ全然違うよ!」と師範から言われるのが、ある種の楽しみ?にもなっている昨今です。

Q ずばり長尾先輩にとっての師弟関係とは

極論は、運や縁ということかと認識しています。

Q 最後に後進達へのメッセージをお願いします。

今日までの人生を振り返りますと「稽古していて良かった!」と実感した事が何度もありました。逆に、稽古から離れていた時期は、不注意から生じるケガ、病気、トラブルが多かった気がします。中国武術には、上品、中品、下品という種類があると聴いた事があります。

簡単にいうと「殴り合いの武術」「殴り合いに体力や健康に関わる思想が加わった武術」「更に精神、運気、人生にまで関わってくる武術」という分け方のようです。ストレス社会という言葉が出てきて久しいですが、不安な時、イライラした時、多忙な時こそ稽古をされる事を習慣にしていただきたいと思います。あの稽古前と稽古後で、別人になったかのような感覚を少しでも多くの方に味わって頂きたいと切に願うものであります。

自身のエピソードを交えながら楽しく読みやすい中にも、経験からの重さを感じるお話でした。今では貴重となった機関紙「颯爽」の香港通信は必読です。現在道場を離れている方が、長尾支部長の話を聞いて、もう一度やってみようかなという気持ちになってもらえたら幸いです。

長尾剛香港支部長ありがとうございました!!

清武会香港支部長 長尾剛